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歯周病治療・歯茎の再生治療

歯を大切に守るための歯周病治療

歯を大切に守るための歯周病治療

日本人が歯を失う最も大きな原因は、実は虫歯ではなく「歯周病」であるという事実をご存知でしょうか。 歯周病は自覚症状がほとんどないまま静かに進行し、気づいた時には歯を支える骨が溶かされ、手遅れになってしまうことも少なくない、非常に恐ろしい病気です。 そのため「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれています。 しかし歯周病は正しい知識を持ち、適切な処置を行えば、その進行を食い止め、改善することが可能です。 さらに近年の歯科医療の進歩により、一度失われてしまった歯周組織を「再生」させる治療も行えるようになりました。 当院では患者様の大切な天然歯を一本でも多く守るため、歯周病の基本的な治療から、マイクロスコープを駆使した精密な外科治療、そして歯周組織再生療法に至るまで、一人ひとりのお口の状態に合わせた処置を行っています。

歯周病のレベル

第1段階:歯肉炎(しにくえん) – 適切なクリーニング、ブラッシングで元に戻れるステージ

歯周病の最も初期の段階であり、炎症が歯茎(歯肉)に限定されている状態です。

主な症状
歯磨きの際に歯ブラシに血が付いたり、リンゴをかじった時に出血したりすることがあります。 歯茎が少し赤みを帯びて、丸く腫れぼったい印象になります。 しかし、この段階ではまだ痛みを感じることはほとんどありません。
お口の中の状態
歯周病菌の出す毒素によって歯茎に炎症が起きていますが、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)はまだ破壊されていません。
治療の考え方
歯肉炎は、完全に健康な状態に回復することが可能な、唯一の段階です。 原因である歯垢と、それが硬くなった歯石を、毎日の丁寧なセルフケアと歯科医院での専門的なクリーニングによって徹底的に除去することで、歯茎の炎症は治まり、引き締まった健康な状態を取り戻すことができます。 これは、体からの大切な警告サインと捉え、決して見過ごさないことが重要です。

第2段階:歯周炎(ししゅうえん) – 骨が溶け始める

歯肉炎が進行し、炎症が歯を支える顎の骨(歯槽骨)や、歯と骨とを結びつけている歯根膜(しこんまく)にまで波及した状態です。 ここからは、失われた組織を元に戻すことは難しくなります。 歯周炎は、その進行度によって、さらに軽度・中等度・重度に分けられます。

軽度歯周炎
歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)が3~4mm程度になり、その中で歯周病菌がさらに活動しやすくなります。 歯を支える顎の骨が、少しずつ溶かされ始めます。 歯磨きの際の出血に加え、歯茎の腫れや、軽い口臭を感じ始めることもあります。 この段階では、歯の根の表面に付着した歯石を徹底的に除去する処置(SRP)が治療の中心となります。
中等度歯周炎
歯周ポケットは4~6mmとさらに深くなり、顎の骨の破壊もかなり進行していきます。 歯茎が下がり、歯が長くなったように見えたり、歯と歯の間に隙間ができて食べ物が詰まりやすくなったりします。 指で押すと歯が少しぐらつくようになり、硬いものが噛みにくいと感じることもあります。 歯茎から膿(うみ)が出る、口臭が強くなるといった症状も現れ始めます。 SRPに加え、状態によっては歯茎を切開して、根の深い部分の汚れを直接取り除く外科的な処置が必要になる場合があります。
重度歯周炎
歯周ポケットは6mm以上にもなり、歯を支える骨は半分以上失われてしまった、非常に危険な状態です。 歯は著しくぐらつき、食事の際に痛みを感じることもあります。 歯並びが変わってしまったり、歯茎が頻繁に腫れて、自然に膿が出たりすることもあります。 この段階になると、抜歯を考えなければならないケースも増えてきます。 歯を残すためには、歯周外科治療や、失われた骨を再生させる「歯周組織再生療法」といった、高度な専門治療が必要となります。

このように、歯周病は段階が進むほど、治療が複雑になり、歯を失うリスクも高まっていきます。 自覚症状が出にくいからこそ、定期的な歯科医院での検診で、ご自身のお口の状態を正確に把握し、早期発見・早期治療に繋げることが、皆様の大切な歯を守る上で最も重要なことなのです。

歯周病セルフチェック

以下の項目に一つでも当てはまる場合は、歯周病が進行している可能性があります。 痛みなどの自覚症状がなくても、一度歯科医院で詳しい検査を受けることを強くおすすめします。

  • 歯磨きの際に歯茎から出血がある
  • 歯茎が赤く腫れている
  • 歯がぐらぐらと揺れる
  • 口臭が気になるようになった
  • 歯茎の色が以前より暗い赤色に見える
  • 歯が長くなったように感じる
  • 歯が浮いているような感じがする
  • 冷たい水がしみるようになってきた
  • 朝起きると口の中がネバネバする
  • 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった

歯周病が全身に及ぼす影響

歯周病はお口の中だけの病気ではありません。 近年の研究により歯周病菌やその炎症物質が、歯茎の血管から全身の血液中に入り込み、様々な病気を引き起こしたり、悪化させたりする要因となることが分かってきています。

疾患名 関連性
糖尿病 歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼし合う関係にあります。歯周病の炎症は血糖値を下げるインスリンの働きを妨げ、糖尿病を悪化させます。逆に高血糖の状態は体の免疫力を低下させ、歯周病を進行させやすくします。
心臓・血管系の病気 歯周病菌が血流に乗って心臓の血管に付着すると、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や狭心症のリスクを高めることが指摘されています。
脳梗塞 動脈硬化の促進により、脳の血管が詰まる脳梗塞のリスクも高まります。
誤嚥性肺炎 特にご高齢の方に多い病気です。食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまう「誤嚥」の際に、お口の中の歯周病菌が一緒に肺に入り込むことで肺炎を引き起こします。
早産・低体重児出産 妊娠中の女性が歯周病にかかっていると、歯周病の炎症物質が血中に流れ、子宮の収縮を促すことで、早産や低体重児出産のリスクが高まることが報告されています。

お口の健康は全身の健康の入り口です。 ご自身の体を守るためにも、歯周病の予防と治療は非常に重要です。

当院の歯周病治療

歯周病治療の基本はその原因である歯垢と、歯垢が硬くなった歯石を徹底的に除去することです。 当院では患者様のお口の状態を正確に把握した上で、段階に応じた適切な治療を進めていきます。

丁寧な検査と診断から

治療を始める前に、まずは現状を正確に把握するための検査を行います。 「歯周ポケットプローブ」という器具で歯周ポケットの深さを測り、出血の有無を確認します。 必要に応じてレントゲン撮影を行い、骨がどの程度失われているかを評価します。 その際には口腔内カメラも使用し、ご自身の歯茎の状態をモニターでご確認いただきながら、分かりやすくご説明いたします。

歯周基本治療

歯周病の進行度に関わらず、すべての患者様に行う基本的な治療です。

スケーリング(歯石除去)
歯の表面や歯周ポケットの浅い部分に付着した歯石を専用の器具で除去します。 効率的に広範囲の歯石を除去できる超音波スケーラーと、細部の仕上げに適したハンドスケーラー(歯肉キュレット)を使い分け、丁寧に取り除きます。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
歯周ポケットの深い部分、歯の根(ルート)の表面にこびりついた歯石を除去し、表面を滑らかにする処置です。 このSRPの精度が歯周病の改善度を大きく左右します。 当院ではこの精密さが求められるSRPにおいて、歯科拡大鏡(ルーペ)やマイクロスコープを活用します。 視野を拡大することで肉眼では見えない微細な歯石も見逃すことなく、確実に取り除くことが可能です。
歯磨き指導
歯科医院での処置と並行して、ご自宅でのセルフケアの質を高めることが不可欠です。 担当の歯科医師がお一人ひとりのお口に合わせた効果的な歯磨き方法をアドバイスします。

すべての治療を歯科医師が責任を持って担当します

すべての治療を歯科医師が責任を持って担当します

当院では、歯周病の検査・診断から、歯石除去(スケーリング)、そして治療後のメインテナンスに至るまで、すべての処置を歯科医師自身が一貫して担当いたします。 多くの歯科医院では分業制が進む中、あえてこのスタイルを貫くのは、歯周病治療には、お口全体の噛み合わせや、一本一本の歯の状態を考慮した、総合的な視点が不可欠だと考えているからです。 毎回、皆様のお口のことを最も深く理解した歯科医師が、専門的な視点でクリーニングを行うことで、ごく僅かな歯茎の変化や、噛み合わせの異常も見逃しません。 常に質の高い医療をご提供し、長期的に皆様の健康を守ることを大切にしています。

進行した歯周病に対する歯周外科治療

歯周病が重度に進行し、歯周ポケットが非常に深くなってしまうと、SRPだけではポケットの奥深くの歯石を完全に取り除くことが困難になります。 そのような場合には歯茎を一時的に切開して、歯の根を直視できる状態にしてから、徹底的に清掃する「歯周外科治療(フラップ手術)」を行います。

失われた組織を取り戻す歯周組織再生療法

歯周外科治療は病気の進行を食い止めるための処置ですが、一度失われてしまった骨などの組織は、それだけでは元に戻りません。 しかし特定の条件を満たす場合には「歯周組織再生療法」によって、失われた歯周組織を再生させることが可能です。 当院ではこの高度な再生療法にも対応しております。

エムドゲイン法
「エムドゲイン・ゲル」という、歯が生えてくる時に重要な働きをするタンパク質の一種を主成分とした薬剤を歯の根の表面に塗布する方法です。 この薬剤が歯を支える組織の再生を促し、歯槽骨や歯根膜といった組織が、かつて存在した状態と似た形で再生するのを助けます。
GTR法(組織再生誘導法)
歯周病によって骨が溶かされた部分に「メンブレン」という特殊な膜を設置し、骨が再生するためのスペースを確保する方法です。 歯茎の治癒速度は骨の再生速度よりも速いため、何もしなければ骨が再生すべきスペースに歯茎が入り込んでしまいます。 メンブレンで壁を作ることでそのスペースに骨が再生するのを待ち、誘導します。 この際、骨補填材などの歯周組織再生用バイオマテリアルを併用することもあります。 これらの再生療法は非常に繊細な技術が求められるため、当院では必ずマイクロスコープを用いて精密な処置を徹底しています。
結合組織移植(歯肉移植)
歯周病や、強すぎる歯磨きなどによって歯茎が下がり、歯の根が露出してしまった場合に、ご自身の上顎などから歯肉の一部を採取し、不足している部分に移植する治療法です。 見た目の改善はもちろん、知覚過敏の症状緩和や、将来的な歯茎の退縮を防ぐ効果が期待できます。

歯周病についてよくある質問

歯周病は人から人へと伝染りますか?

はい、伝染る可能性があります。 歯周病は細菌による感染症ですので、唾液を介して感染します。 ご家族間での食器や箸の共有、ペットボトル飲料の回し飲みなどは感染のリスクを高める行為ですので注意が必要です。

男性と女性で歯周病リスクは変わりますか?

女性はホルモンバランスの影響で、男性よりも歯周病になりやすいと言われています。 特に女性ホルモンが増加する思春期や妊娠中、また更年期などは特定の歯周病菌が増殖しやすく、歯茎の炎症が悪化しやすい時期です。 これらの時期には、より一層丁寧なセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアが重要になります。

煙草を吸う人は歯周病になりやすいというのは本当ですか?

はい、本当です。 煙草に含まれる有害物質は歯茎の血行を悪化させ、免疫力を低下させます。 これにより歯周病菌が繁殖しやすくなるだけでなく、歯周病が進行しても歯茎からの出血といった自覚症状が出にくくなるため、発見が遅れがちになります。 喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病リスクが約5倍になるとも言われています。

大切な歯を生涯にわたって守るために

大切な歯を生涯にわたって守るために

歯周病は自覚症状なく進行し、気づかぬうちに大切な歯を奪っていく病気です。 しかし定期的な検診と適切なケアによって、そのリスクは十分に管理できます。 たとえ進行してしまったとしても、現代の歯科医療には歯を救うための様々な選択肢があります。 「もう手遅れかもしれない」と諦めてしまう前に、ぜひ一度当院にご相談ください。 私たちは皆様の歯を一本でも多く残し、生涯にわたってご自身の歯で美味しく食事を楽しめるよう、全力でサポートいたします。

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