親知らずについて ― 抜くべきか、残すべきか

親知らずは、永久歯が生え揃った後、一番奥に生えてくる歯で、正式には「第三大臼歯」と言います。
現代人は顎が小さく、親知らずが正常に生えるスペースがないことが多いため、様々なトラブルの原因になりやすいのが実情です。

「抜かない」という選択肢

私たちは、すべての親知らずを抜くべきだとは考えていません。
以下の条件を満たす親知らずは、無理に抜く必要はなく、大切なご自身の歯として残すことができます。

• 上下の歯がまっすぐに生え、正常に噛み合っている
• 歯ブラシがしっかりと届き、清潔な状態を保てている
• 現在、痛みや腫れなどの症状がない
• 周囲の歯や歯並びに悪影響を与えていない

抜歯を推奨するケース

一方で、以下のような状態の親知らずは、現在症状がなくても、将来的に虫歯や歯周病、歯並びの悪化といったより大きな問題を引き起こす可能性が極めて高いです。
お口全体の健康を守るという観点から、抜歯をおすすめすることがあります。

女性の患者様へ：妊娠前の抜歯について

妊娠中は、ホルモンバランスの変化やつわりによる歯磨き不足などから、お口のトラブルが起こりやすくなります。
特に、親知らずが急に痛み出す「智歯周囲炎」は、妊娠中に起こりやすいトラブルの一つです。
しかし、妊娠中、特に初期は胎児への影響を考慮し、レントゲン撮影や麻酔、お薬の処方をできるだけ避けなければなりません。 安心してマタニティライフを送るためにも、将来的に問題を起こす可能性のある親知らずは、できるだけ妊娠前に抜歯しておくことをおすすめします。

経験と技術に基づいた、心身への負担が少ない抜歯

当院では、外科処置に伴う患者様の不安や恐怖、そして身体的な負担を最小限に抑えるため、様々な工夫と配慮を徹底しています。

1000本以上の実績

当院の院長は、これまでに1000本を超える抜歯の経験を積んでまいりました。
この数字は、まっすぐに生えた歯から骨の中に深く埋まった歯まで、あらゆる症例に対応してきた知識と技術の蓄積を意味します。 豊富な経験があるからこそ、予期せぬ事態にも冷静かつ的確に対応でき、スムーズで安全な処置が可能となるのです。

歯科用CTによる安全を最優先した治療計画

特に、親知らずが横向きに生えていたり、歯の根が複雑な形をしていたり、下顎の太い神経に近い場合など、難易度の高い抜歯を行う際には、必ず歯科用CTによる精密検査を行います。
CT撮影により、歯の立体的な構造や神経・血管との位置関係を三次元的に正確に把握することができます。
これにより、神経麻痺などの偶発的な事故のリスクを限りなくゼロに近づけ、安全を最優先した治療計画を立案します。

切開を最小限に抑える低侵襲な手技

抜歯後の痛みや腫れの大きさは、歯茎の切開範囲や骨を削る量、そして処置にかかった時間に大きく影響されます。
当院では、豊富な経験とCTによる精密なシミュレーションに基づき、歯茎の切開や骨の切削を本当に必要な範囲だけに留める低侵襲な抜歯を心がけています。
最小限の侵襲で、スムーズに処置を完了させることが、術後の回復を早め、患者様の身体的なご負担を和らげる最善の方法だと考えています。

痛みを和らげるための丁寧な麻酔

処置の前には必ず麻酔を行いますので、抜歯中に痛みを感じることはありません。
また、私たちは、その麻酔注射の痛み自体も軽減できるよう、表面麻酔の使用や極細の注射針、電動麻酔器などを活用し、丁寧な麻酔処置を徹底しています。

抜歯後のトラブルを防ぐための処置

抜歯後に強い痛みが続く原因の一つに「ドライソケット」があります。
これは、抜歯した穴を覆う血の塊（血餅）が剥がれてしまい、骨が直接お口の中に露出することで起こるものです。
当院では、ドライソケットのリスクを低減するため、抗生物質の処方はもちろん、必要に応じて抜歯した穴にコラーゲン製の保護材を詰めるなどの対策を行っています。

親知らずの抜歯についてよくある質問